今冬は新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)におきまして、
昨年を上回る感染拡大に見舞われています。
また、インフルエンザも今年は例年よりも流行する可能性があり、
コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されています。
今まで以上に個々人でのワクチン接種、日常生活における基本的な感染対策が必要となりますが、
大学を始めとした教育機関にも、もう一段対策を強化する必要も求められてきています。
その中で、一つの対策として、CO2センサー(二酸化炭素濃度測定器)を用いたCO2監視システムを構築して、コロナを始めとした感染症対策に繋げる方法があります。
そこで、このCO2センサーを用いたCO2監視システムを大きなテーマとしまして、
CO2センサーの選び方、CO2センサーの設置方法、CO2濃度の確認方法、CO2濃度が高くなった際の対処法など、コロナ対策に少しでも役立つための情報を、連載してお届けします。
記念すべき第1回は、「どのようなCO2センサーを選べばいいの?」というテーマにて、CO2監視システムの中核を担うCO2センサーについてお話ししていきたいと思います。
CO2センサーの選び方について
CO2監視システムにおいて重要な要素となるのがCO2センサー(二酸化炭素濃度測定器)です。CO2センサーは市販品も多く、家電量販店やホームセンター、さらにはインターネット通販でも購入できます。また一方、業務用途のCO2センサーも各社から販売されています。
~CO2センサー選びの難しさ・・・~
しかしながら、コロナ禍をきっかけにCO2センサーを多く見かけるようになったものの、一般の方では、どのCO2センサーを選べばよいのか判断できないことが課題となっています。
数あるCO2センサーが市場に出回っていますが、その中には肝心の二酸化炭素(=CO2)に対して正確に反応しなかったり、消毒用のアルコールに強く反応してしまったりなど、CO2濃度を正しく測定できないセンサーも多くあるとの調査結果(※1)も出ています。
そのようなことも影響して、2021年11月には、経済産業省によって、
「二酸化炭素濃度測定器の選定等に関するガイドライン」という指針(※2)が策定され、CO2センサーを選定する際に最低限要求される仕様などの基準が定められました。
とは言え、上記ガイドラインの要件を満たした数万円レベルの高価なCO2センサーであっても、測定精度が十分でない、測定間隔が長いなどの問題がある場合があります。
また、ネットワークに接続するCO2センサーの場合、人が集まる場所ではスマートフォンなどの通信に阻害され、センサーからの測定結果を収集するゲートウェイが上手くデータを取得できない場合もあります。
~CO2センサー選びには何を優先するかが重要!~
上述したような実用に適さないCO2センサーを何とか避けられた場合でも、数あるCO2センサーのそれぞれが、三者三様の様々な特徴を持っています。その中で、どのようなCO2センサーを選ぶべきかについては、お客様の使用環境によって何を優先するのかを決めて、目的に合ったCO2センサーを選ぶことが重要となってきます。
例えば、皆様がCO2センサーと言われてイメージされるのは、不特定多数の人が出入りするような、飲食店を始めとした店舗のレジ前に置かれているCO2センサーだと思います。
それらのCO2センサーは、従業員がその場でCO2濃度を確認し、CO2濃度が高くなっていれば換気をし、または、来店した方に、CO2濃度を管理している店舗であることを示して、安心をしてもらうという目的もあります。おそらく小規模な施設であれば、そのようなCO2センサーや運用方法で問題は無いと思います。
~大規模施設ではネットワーク経由での一元管理が効果的!~
しかしながら、飲食店などの比較的小規模な店舗であれば、比較的こまめにCO2濃度を確認できますが、大学などの大規模な施設の場合、CO2センサーの付近に職員などを配置できないことが多く、頻繁にCO2濃度をチェックすることは難しいと思います。
そこで、ネットワークに繋がるCO2センサーを使用し、一元管理ができるようにする仕組みが効果的です。大学などの教育機関の場合、多くの講義室、演習室、研究室、自習室などがあります。
それらの多くの教室のCO2濃度を把握するには、CO2センサーで測定したCO2濃度をネットワークを通じてモニタリングできるサービスに表示させ、管理部門のような部署や各学部の担当部署がリアルタイムに状況を確認できるようにすることが効果的です。
ここで、ネットワークに繋がるCO2センサーと言っても、「どのようにネットワークに繋がるのか?」
という疑問が出てくると思います。
今回はこのぐらいまでとしておきまして、次のコラムでは、CO2センサーがどのようにネットワークに繋がるのか、具体的にどのような通信規格に対応しているかについてお話ししていきたいと思います。
※1.国立大学法人 電気通信大学 ニュースリリース
「安価で粗悪な CO2センサの見分け方 ~5千円以下の機種、大半が消毒用アルコールに強く反応~」
※2.経済産業省 策定
「二酸化炭素濃度測定器の選定等に関するガイドライン」